イザナギとイザナミが国を生んでいく日本の創世神話を元に上演する、
私たちの「わが町の物語」
KAIKAは、祇園祭・岩戸山の鉾町に在ります。岩戸山は、古事記「国生み」「天岩戸」の神話をモチーフにした山鉾です。それにちなんで、「国生み」を題材にした作品の上演を行います。
2021年度に計画していましたが、コロナ感染拡大により公演中止となりました。この度、改めて、よりバージョンアップした状態での上演に臨みます。
天照大神がお隠れになった天岩戸の前で、芸能の女神・アマノウズメが踊り、それを観た神々の笑い声を聞いて、天照大神が出てきたと言われるお話のように、この困難の岩戸を開き、少しでも社会が明るくなるよう、私たちの活動を、日々 粛々と重ねていきたいと思っています。
※本公演は、新型コロナウイルス感染症への対策を講じた上で実施いたします。
※情勢により、公演情報に変更が生じる場合がございます。その際は随時お知らせいたします。
今春、母の生まれ住んだ家がなくなるそうです。それを聞いて、帰る場所のなさ、というなんとも言い難い思いを、はじめて身に沁みて感じました。母の生まれ住んだ家は、誰か別の人のものになるそうです。10年前の2011年、演劇界デビューを果たした僕たちは、東日本大震災の直後だった、という現実に、つねに向き合うことになりました。帰れない場所、自分の場所がなくなること。その大きさが、10年の時を経て、ようやっと追いついて実感しているように思います。母はずっと、僕の演劇人生を見つめてくれて、それでいて、いいなあそんなふうに自由に暮らしてみたいなあ、と、そう言ってくれました。なぜかそんな言葉がずっと心に残っています。「私は」「私たちの」現在地って、どこなんでしょうね?どこにいれば、なにがあれば、心が安らかで、穏やかに過ごせるでしょうか。あくなき問いが、いまなお、改めて降りかかるような思いでいます。
大原渉平
もう一度「Our Land」を演出する機会を頂けて、大変光栄です。
昨年の創作を胸に、また新たな気持ちでこの作品と向き合いたいと思います。
刻一刻と姿を変える”世界”、コロナ感染拡大でその変化をより身近に感じるようになりました。
「Our Land」に描かれる世界もページをめくるたび鮮やかに、時に激しく変化していきます。
そんな中を生きる2人が、歩みを進めていく時間、立ち止まってしまう時間、どちらも肯定できる作品作りをしていきたいです。
この公演が、KAIKAという”場所”そして祇園祭や岩戸山に興味を持つきっかけになれば幸いです。
西井桃子
岩戸山の神話にまつわる作品をつくりたい、とずっと考えていました。KAIKAの活動に縁の深い仲間とそれに取り組みたい、とみんなにお願いしました。
そうしてできた作品は、こんな形になりました。
「どこが ”国生み”なの?」と思われるかもしれません。でもそもそも私たちは、たまたま、ここ・岩戸山の鉾町にあるKAIKAを拠点に活動していて、ゆえにこの作品をつくりました。
私はこれを、私たちの「わがまちの物語」として創作したいと考えています。
昨年度に上演しようとした時、この「国生み」から考えてたのは、日本とその周辺の国々・・くらいのことでした。今のご時世を受けて、もう少しひろく、世界各地の「くに」のことを、今、考えています。
植村純子
KAIKAのアソシエイトカンパニー・劇団しようよの代表。自身の劇団では、作・演出を務める他、京都市東山青少年活動センターでの「演劇ビギナーズユニット」や、せんがわ劇場(東京都調布市)の「海外戯曲リーディング」で演出を担当する。
KAIKAの試演会企画「gate」のディレクターを、2013年6月〜2016年1月に担当。2015年〜2018年は、KAIKAの年間ラインナップの選定にも携わる。
ツクネル tsukuneruを率いて、2019年3月と12月に会員向け発表会を、同年9月に「やっと第1回本公演」をKAIKAで行う。
2018年〜2020年、KAIKAの運営やそこで上演される公演の企画に携わり、2018年・19年の夏は、祇園祭の岩戸山での、生ちまき販売の手伝いにも精力的に携わった。
2021年2月に、若だんさんと御いんきょさんの公演で演出を担当しているのを植村が観て、この作品の演出に声をかけた。
主催:一般社団法人フリンジシアターアソシエーション
made in KAIKA
KAIKA’s stores
ふたりが生み出すもの。をイメージして、もうひとつの国生みを描いてもらいました。(写真:高田晴菜)
2022年7月初演 会場:KAIKA (写真:脇田友)